♪身毒丸 藤原竜也×白石加代子ファイナル2002♪
ロンドン・バービカン劇場、この作品で衝撃のデビューを飾った藤原竜也。
今回で彼は「身毒丸」を卒業。見納めですッ!STORY
亡き母の面影を求めて彷徨う少年・身毒丸。
彼の父親は彼を伴って「母を売る店」へ行き、元旅芸人の撫子という女を買う。
「お父さんがいて、お母さんがいて、子供が2人(身毒丸と撫子の連れ子・せんさく)いる。立派な家族だ」
こうして「家の形」ができあがる。しかし、あくまで「母」として買われたのであり、「女」としては受け入れられないことで
撫子の心に狂気が忍び寄る。
そして、身毒丸は撫子を全く受け入れようとせず、2年ともに暮らしても拒絶し続ける。母と子としては近づくことができないが、心の奥底では男と女として意識しあっている身毒と撫子。
地獄を超えて二人がたどり着く先は・・・
02.2.22 愛知県厚生年金会館
STAFF
作 寺山修司 岸田理生 演出 蜷川幸雄 芸術総監督 諸井 誠 作曲 宮川彬良 美術 小竹信節 照明 吉井澄雄 衣装 小峰リリー 振付 前田清実、花柳錦之輔 ヘア&メイク 高橋功亘 音響 井上正弘 舞台監督 明石伸一 技術監督 眞野 純 演出助手 井上尊晶、大河内直子 CAST
身毒丸 藤原竜也 撫子 白石加代子 父親 三谷 昇 小間使い 蘭 妖子 仮面売り 石井愃一 せんさく 有馬優人/笠原織人 日野利彦、マメ山田、飯田邦博、福田 潔
桜山 優、海、金子岳憲、神保良介
山口詩史、村中玲子、妻鹿有花、中島陽子
太田馨子、難波真奈美、星野園美、栗田愛巳歌 藤 圭子、山谷初男、コシ ミハル
深沢 敦、長沢 徹、福田 潔
木津茂理、紅 エミ、千里あかり
若葉市之丞、大前潤司
仕事を抜け出して、というか上がったフリ?をして出て会場へ。
突然思い立って電話で立ち見を予約して行ったが、疲れていて少々体調も不安あり。
今池の改札を出ると「身毒丸チケット1枚買ってくれませんか」と書いた紙を
持って立っている女の子3人組発見。どうしようか迷ったけど、定価払ってでも
座って観たほうがいいだろうと思い、岐阜から来たという彼女らからチケット購入。
1階 I列13番。9列目じゃん。3000円の立ち見より定価でもこの席なら(^^)。
岐阜3人娘は うわーこんなに近いヨー どうするー キャー 泣いちゃうかもー!
と、どきどきしている。可愛い。素直でよいなぁ。98年にシアターコクーンで観た時は あ! っという間、という短いお芝居だ
という印象があったけど、今回2度目で話の筋も知ってるし、じ〜っくり観られた。
満腹。なんだか、竜也おおきくなったな〜。背が伸びちゃったのであろう。
もうコドモという感じはあまりない。かといってオトナでもない。微妙。
そしてすごく危うげ。これはいつも変わらない。フレッシュ、ってのとも違う・・・
何というか、安心感を抱かせない、というか。不思議だ。
だからカーテンコールで白石さんと手をつないでホッとしてるっぽい顔見ると
こっちも妙にホっとしてしまう(笑)それにしても目をとらえて離さないコである。その声に耳もとらわれて離してもらえない。
TVで聴くとそうでもないけど、舞台で直に聴く時の声はホントに不思議と面白い。
「お母さん、もう一度 僕を妊娠してください!」の“もう一度”でK.O.でございます。
キメ台詞の寸前のタメが!抑えが!くぅ〜、たまらん!!白石加代子さん、着物を着ているせいもあるけど、細かい動き、仕草が
女らしいというか可愛らしいというかcharmingというか。あんなコワイ顔(失礼)
してるのに不思議だ。すごく可愛らしい。そして、女優にトシはないのだろうが、
しかしもう60近いお歳だろうと思われるのに、あんな官能的なことになっちゃっていいのか?
女性ってスゴい。いくつになっても美しかったり可愛かったり官能的だったりするんだ。
怖いよ、ちょっと。お父さんの役も面白いし衝撃的。再演だし、カンパニーがまとまってる感じもする
(新鮮さが無くなるでなく)。場面場面がインパクトのある変な絵。しょっぱなのグラインダーマンの火花とか
ハンコ人間とか。で、キレイなようで穢れているような変な絵が次々と現れるから
飽きない。変、だけど難しかったり分かり辛いモノじゃないし。高尚さとかはなくて
猥雑で面白い。んー蜷川。家とか社会とかのつながりから自分を切って解放して生きることができたら
どんなにスゴイだろう。面白かったわ。相変わらず。
私、ちょっと竜也のこと褒めすぎ?あははー。いいのだ、好きなんだからー。
初めて見たのは97年の「身毒丸」のオーディションからロンドン公演までを追った
ドキュメンタリーTV番組でだったんだけど、オーディションの時点で全く演技経験のない
ただの男の子なのに、蜷川氏のダメ出しをちゃんと吸収して、次に「じゃやってみて」って、
やるとできちゃう、という天才っぷりをみてびっくり。的確にダメを捉えて修正してるの。
ほ、ほんと、天才なんだこのコ!って思った。
ま、演技に関してだけみたいだけどね、天才っぷり発揮するのは。
バラエティー番組とか出てる時って言ってること支離滅裂だったりして
「このコ、頭、悪い!」って感じだもん。そこがまたカワイイんだけどねェ〜ところで、やっぱり健康って大事。この日、劇場を出たころには熱が急上昇。
次の朝には体温38度(涙)しかも仕事絶対休めない日。
観劇、趣味とは言え、命懸けです(笑)
♪ピッチフォーク・ディズニー♪
イギリスの鬼才・フィリップ・リドリー作の戯曲を初の翻訳上演。
遊◎機械/全自動シアターの白井晃が演出、TV・映画など映像の世界でも活躍する
役者をキャスティングして繰り広げる恐怖の悪夢・・・STORY
二人きりで部屋に閉じこもって暮らしている双子の兄妹。
兄は妹に、「核戦争が起きてこの部屋だけが残った、僕達だけが生き残った」
というつくり話をきかせ、安心させて寝かしつける。
部屋の外は彼らには恐怖で満ちた世界。外へ出るのは最低限の買い物だけ。兄が窓の外を覗くと、苦しそうにうずくまっている少年がいた。
彼はその美しい少年を部屋に招き入れ、・・・
02.5.25 シアタートラム
STAFF
作 フィリップ・リドリー 訳 小宮山智津子 演出 白井晃 舞台美術 松井るみ 照明 高見和義 音響 実吉英一 衣装デザイン 太田雅公 小道具 福田秋雄 ヘアメイク 林裕子 舞台監督 安田武司 CAST
Presley Stray 萩原聖人 Haley Stray 宝生舞 Cosmo Disney 山本耕史 Pitchfork Cavalier 吉田メタル
おとなりの世田谷パブリックシアターは来たことあったけどトラムは初めて。
小さい小屋だ。がらーんとした、清潔さの無い部屋のセット。テーブルと椅子2脚、
ソファ、冷蔵庫、戸棚、窓、ドア。ボロボロっちいTシャツとジーンズという格好の
萩原聖人 as 兄&宝生舞 as 妹。親に捨てられて10年以上2人で暮らしている兄妹。
子供のまま大人になってしまっている。社会との関わりも絶ち、核戦争後の世界に
2人ぼっちになって生き残っちゃった、と作り話をしてmake believe で安心してる
変な兄妹。妹は怖がりで外へ出ようとせず、わがままでかんしゃく持ち。
兄は気が弱く優しい。
そこへ山本耕史 as Cosmo Disney をたまたま招き入れてしまったことから
兄の悪夢が表へあらわれる。宝生舞、可愛いのはもちろんだが(ボロっちい格好してても)、声が面白い。
萩原聖人、妹のワガママには弱いお兄ちゃんっぷり、エキセントリックで怖いけど
美しい少年 Cosmo の魅力(外界との接触の魅力?)に抗えない弱さが
イイ感じに出てる。あんまり期待してなかったけど案外イイ役者かも。
ひとりで悪夢を語る長台詞があったり、とにかく台詞が多いから、ほんの少し
つまったりしてるとこもあったけど。耕史、珍しくとんでもない訳。登場するなりいきなりゲロ吐くわ、
「オレは完璧、カッコイイ、美しい、オレに触るな!」言い放つナルシストだわ、
ゴキブリ食うわ・・・
キレイなつるっとした顔してるからナイーブで繊細な少年役が多かっただけに
楽しいだろうなーこういうイっちゃってる役。もう邪悪さ全開。Presley が悪夢(すごく個人的なような、怖くて、死にそうに恥ずかしくて、醜くて、
最後はたった一人生き残り、核の灰を浴びて立ち上がる完璧な少年になる、という夢)
を語る間、というか物語の大半、宝生舞はソファでおしゃぶりをくわえて寝てるだけ。
そんなとこも面白い。子供なようで、双子って設定だから28歳。
おしゃぶりくわえて寝てるキレイな28歳。ヤラシー。Cosmoとの唯一のカラミも、
もー、ヤラシー。彼女は寝てるだけなんだけど。このヤラシさもPresleyの悪夢の一部のよう。不気味なマスクをかぶった“見世物”人間の Pitch、 彼と Cosmo がPresley の悪夢の
中の殺人鬼 Pitchfork Disney と重なるという不思議にコワーーイ舞台。
最初っから最後まで、悪夢、みたいな舞台。でも観終わった後、すごくサッパリした、
スッキリした、晴れ晴れした気分になった。劇場を出ると、満月。人間はみんな、スーツ着たり、お化粧して出勤し、コンピュータに向かって仕事して、
お疲れサマーなんつって日々暮らしているけど、みんなああいう悪夢が頭の中には
渦巻いてるんだ!と思ったら、満月もいつもよりクリアーに見える気がした。出演者はたったの4人。でも、悪夢に観客を一気に引っ張り込む萩原聖人の力はなかなかだったし
山本耕史もキョーレツな役で、萩原との対比もいいし、作品として面白くてわりと気に入りました。
単純に比較することはできないけど、2001年秋に観たTHE ガジラの「或る憂鬱」も悪夢系だが
あれよりずっと演出もシンプルで、私はこっちの方が好み。。。
♪マクベス♪
蜷川幸雄演出、唐沢寿明&大竹しのぶ主演。こぉれは強力だぁぁぁぁ!
2001年に彩の国シェイクスピア・シリーズ第8弾として上演されたものの再演。
12月のニューヨーク公演を控えた東京公演。STORY
スコットランドの勇将マクベスは武勲をあげて主君のダンカン王のもとへ戻る途中
魔女に「将来お前は王となる」と予言される。
その直後、マクベスはコーダーの領主に任命され、魔女の予言に信頼を深める。
マクベスは夫人に手紙で予言の内容を知らせる。夫人はマクベスを王にするべく、
ダンカン王を殺害することを決意する。
02.10.18 Bunkamuraシアターコクーン
STAFF
芸術総監督 諸井 誠 演出 蜷川幸雄 作 ウィリアム・シェイクスピア 翻訳 松岡和子 装置 中越 司 照明 原田 保 衣装 小峰リリー 音響 井上正弘 ヘアメイク 武田千卷 ファイト・コリオグラファー 國井正廣 演出助手 井上尊晶 大河内直子 舞台監督 白石英輔 CAST
マクベス 唐沢寿明 マクベス夫人 大竹しのぶ マクダフ 勝村政信 バンクォー 六平直政 マルカム 大石継太 魔女1 神保共子 魔女2 立石涼子 魔女3、侍女 梅沢昌代 ロス 大川浩樹 ダンカン 妹尾正文 門番 梅津 栄 マクダフ夫人 山崎美貴 シーワード 高瀬哲朗 医者 飯田邦博 老人 伊東千啓 アンガス、暗殺者1 新川將人 シートン、暗殺者3 井面猛志 フリーアンス 月川勇気 暗殺者2 廣 哲也 使者 木村 準 レノックス 堀 文明 メンティス 小石祐城 使者 矢野晴彦 将校 田村 真 ドナルベイン 中村正志 召使い 野辺富三 ケイスネス 加瀬竜美 マクダフ息子 笠原織人、西本健太朗
劇場前のチケット売り場横に座って待つ。冷たい床に座ってると寒くなってくる。腰が痛くなる。うぅぅ。
結局、4時ぐらいから2時間待って、2階上手側の後ろのほうの見切れ席を手に入れる。
これが、ほんとーに見切れている。舞台の下手側が半分ぐらい見えない。うわぁ・・・。舞台がはじまると、通路をはさんだお隣の席の人が前の手すりに乗り出してもたれて、
かなり視界を邪魔された。よっぽど「すみません、乗り出さないでくれませんか」と言おうかと思った。
ま、すぐsit backしてくれたから良かったけど・・・。見切れ席だということを説明されて分かっていたが、
でもやはりこれだけ見切れると舞台に注ぐ集中力も下がる。うぅ〜む。
しかし、血糊べっとりの六平さんの顔の怖いこと!大竹しのぶの可愛いこと!
唐沢の衣装(あれはロングスカートなのかしら?)とそれを裁く体のカッコいいこと!
マントの裾が翻る様が素敵なこと!舞台セットはシンプル。2幕で「森」が進軍してくる場面はモノトーン+血の赤ぐらいしか色のない舞台に
「緑」がざわっと出てきて美しい。
1幕最後の晩餐会でマクベスが錯乱して夫人が必死に取り繕うシーン、ぷぷぷっと笑ってしまう。
上司(王)を殺害して自分がその座につくという恐ろしいことをやっちゃって錯乱してしまう
マクベスのマトモさが、「いい奴オーラ」を放つ唐沢に合ってるんだろうな。
大竹しのぶの「したたかオーラ」も夫を王の座に据えるためにあの手この手やっちゃう夫人に
合っているのだろう。圧巻は2幕の夢遊病状態のマクベス夫人のシーンと、マクベスとマクダフの決闘シーン。
マクベス夫人は、ザ・女優大竹、ここにあり、って感じ。
繰り返し(血を洗い流そうと)手をこする仕草、へにゃっと座り込んで、口あけたアホ面、
低い声で「あぁ〜〜」って、あっちの世界にいっちゃった人。さすがー。決闘シーン、かっこいい。二人ともよく動く!勝村も前からみてみたいと思ってた役者さんだったので
面白かった。あのテンションの高さ!汗とつばまき散らす熱い演技!テレビだとわりと
愛嬌のある男の役が多いけど、シリアス一辺倒のマクダフ、良いなぁ。
いっぱい台詞のあるシェイクスピア劇だからこそ、全編集中して観て掴みたかったけど、
所々しか掴めなかったなぁ。残念。でも、面白かった。単純に、TVで活躍してる俳優さんをナマで観られるって楽しいよね〜(ミーハー)。
いやぁ〜、唐沢氏かっこよかったわぁ
黒基調の舞台はスタイリッシュで美しかった。私がイメージする「オシャレ」ってこの舞台の感じかも。
♪エレファント・マン♪
デビッド・リンチの映画版でおなじみのこの作品ですが、舞台のほうが先なのです。
藤原竜也がエレファントマン、となればこりゃぁ・・・観にいっちゃうでしょう。フフ。STORY
18世紀末のロンドン。見世物小屋で怪奇象人間として見世物にされていた
畸形の男、ジョン・メリック。
見世物の興行でベルギーへ行くが、警察に取り締まられ、その上見世物小屋の主人
ロスに金を奪われた彼はロンドンに一人送り返される。ロンドン病院に着任した前途有望な青年医師・トリーヴスは、医学的な興味から診察したいと思い
ジョンを病院に引き取ることにする。
病院のスタッフでさえ近寄りたがらないほどの醜い外見のジョン。
それまで見世物小屋で人間扱いされずに生きていた彼に、人間としての生活を
教えようとトリーヴスはさまざまに計らう。
しかし意外にも彼は知的で、心根は純粋なのだった。ある時トリーヴスは、ジョンの孤独を癒すために、女性に会わせることにする。
依頼を受けた女優のケンドール夫人はジョンの部屋を訪れた−−−02.11.18 愛知県勤労会館
STAFF
作 バーナード・ポメランス 翻訳 山崎正和 演出 宮田慶子 美術 松井るみ 照明 沢田祐二 衣装 前田文子 音楽 沢田完 音響 高橋巌 振付 神崎由布子 ヘアメイク 林裕子 舞台監督 加藤高 CAST
ジョン・メリック 藤原竜也 ケンドール夫人 小島聖 トリーヴス 今井朋彦 ロス、ハウ司教 小市慢太郎 とんがり頭、雑役夫ウィル、下男、公爵夫人 腹筋善之助 とんがり頭、女、スノーク、ミス・サンドウィッチ、アレクサンドラ王女 湯澤幸一郎 ジョン卿、とんがり頭マネージャー、ロンドン警官、ベルギー警官 大森博 カー・ゴム院長 湯浅実
2階の40列42番。かなり上〜のほうの席。初めて来たけど、大きな会場だ。
制服姿の女子高生の観客が結構多い。竜也はもっぱら年上のお姉〜おバさまkillerかと
思っていたがそうでもないのか。美少年が畸形の男を演じるなんてことができてしまうのが舞台のいいところ。
もちろん、舞台は「みる」ってぐらいだから見た目がモノを言うのは当然だけど、
それでも想像の余地を残しているというか。Seeing is believing だけど、
実際に見てるものに別の姿を同時に想像して重ね合わせて見ることが可能ってのは面白い。
TVとかの映像作品と違って、ダマされることを分かって見てるからね、こっちも。
了解済みというか。ダマされて、アナタに醜い畸形の男を重ねて見てあげるわ、
って前提でみんな観る。で、どこまでダマして、というか、うまく想像させてくれるのか?
ってのが観るほうの期待するところ。竜也はなかなかうまく期待に応えていたと思う。
スクリーンに大写しにされたジョンの写真に合わせて体をゆがめてゆくシーンでジョンの
イメージを自分の体に重ねて観客の目に焼き付ける。それができれば、もぅ。青年医師トリーヴス役の今井朋彦、なかなか好感度高し。真摯な。誠実な演技。
脇もうまい人で固めてあって安心感あり。女性は小島聖だけで、その他の女性役は
みな男性が演じる。それがなんというか不気味な感じを盛り上げていて良いかも。
小島演じるケンドール夫人は、登場したはなっからジョンは性的に機能するのかどうかに
ついてトリーヴスにしつこく聞くのが、なんだかなぁ・・・と思ったけど、
それがあればこそジョンの孤独が際立つのね・・・。
機能するからといって、誰が異形の彼を抱くだろうか。
抱くどころか、誰も触れもしない。異形の者の孤独。
オペラ座の怪人しかり、美女と野獣の野獣しかり。
音楽座「泣かないで」の加納たえちゃん(らい病患者)の
「辛いのは病気のことじゃない。誰からも愛されないことに耐えること」という台詞。
ケンドール夫人と握手し、初めて女性に触れたことに号泣するジョン。ああ、ああ、ああ。しかし、ジョンが純粋でロマンチストで可哀想な男ってだけじゃないとこが
人間らしくていいなぁ。病院に住むようになったジョンと交流を持って
色々と寄付したりするのが偉い人たちの間の「流行」になり、ジョンもちょっと
「イイ気」になる、というか。そういう人たちを見下すようなところが少〜しあるというか。
トリーヴスもただの正義感の強い医師ではなく。切なーい人間。しっかし、ちょっと後半の流れがな。なんかスムーズな感じがしなくてなー。
どうもすっきりしないというか。ちょっと退屈させられるというか・・・。
ジョンがトリーヴスら「切なーい人間」の真実を暴いてみせるかっこいい
ショッキングなシーン(でもちょっと・・・これも違和感)のあとが、
どうもスっと入ってこなかったな。え、まだ終わりじゃないの?あれ・・・?
いつ終わるの?何?って感じで。イマイチなぁ。
外見があれだけ美しい男の子が、畸形で醜い男を演じた、ということにまず、よくやった!と。
これもまた、苦しい役だったろうね・・・。女の人と握手しただけで泣く男、だもんな。
相当な想像力がないとできないでしょうね。そして想像力があるということは、苦しいでしょうね。竜也はデビューの身毒丸からして舞台上で全裸になってたけど、今回もまたほぼ裸で(^^;;
ポスターもホント、ギリギリだったしね(笑)すごい度胸です。
で、度胸といえば、小島聖さんが舞台上で脱いだのにはびっくり。
客席には背中を向ける姿勢だが、上半身、脱いでた・・・
舞台全体がダークだったので、白い背中が・・・ ちょっと怖かった。あ、いい感じにザラついた感じがして上品で、好きだな、この舞台装置・・・って思うと美術が
松井るみさんであることが最近多いな。うん。
♪オイル♪
野田地図、初観戦!
STORY
原爆が落とされ、終戦。その直後の島根県。アメリカの進駐軍が支配する日本。
そこに、石油が噴出す・・・
支配される者と支配する者の姿は、古代出雲の「征服される民=世慣れをせぬ人」に重なり、
出雲はイズラモ=イスラム世界に重なり、
石油をめぐる争いは現代の中東情勢に重なり、、、神の声を聞き、石油を掘り当てる巫女の富士。特攻隊員の生き残り ヤマト。
さまざまな人間の思惑が交錯し、時代も場所も交錯し飛び越えて・・・もはや説明不能・・・ う〜む。
03.4.12 Bunkamura シアターコクーン
STAFF
作・演出 野田秀樹 美術 堀尾幸男 衣装デザイン ワダエミ 照明 小川幾雄 選曲・効果 高都幸男 ヘアメイク 河村陽子 舞台監督 瀬崎将孝 プロデューサー 北村明子 CAST
富士 松たかこ ヤマト 藤原竜也 総合的な神マサカ/マッッサーカ軍曹 小林聡美 ノンキダネ/日本人23 片桐はいり 神宮寺醍子/日本人24 山口紗弥加 日本人34/元村長/元元村長/日本人28
被征服民8/ヨナレヲセヌヒト8北村有起哉 ヤミイチ 橋本じゅん 日本人53/日本人33/日本人83/日本人27
日本人45/被征服民7/ヨナレヲセヌヒト7土屋良太 知恵の神ロイヤ/ロイヤ伍長 進藤健太郎 戦いの神コラバガ/コーラバーガ二等兵 小出伸也 日本人52/日本人32/日本人82/日本人26
日本人44/ヨナレヲセヌヒト6山中崇 被征服民ナマコ/日本人43/日本人22 越志マニング 大國教授/日本人25 野田秀樹
Bunkamuraはコクーン。2階の最前列、真ん中。
野田秀樹って、どうかしら・・・あんまり好きじゃないな〜、劇作家や演出家としてはともかく、
役者としての顔かたちも声も、にぎやかな体の動きも・・・なんて思ったものであったが、
実際観おわって振り返ると、一番印象に残っているのは野田秀樹の姿形と動きだったりする。
決して好きじゃないのだが、妙にインパクトが強い。
劇作家としては、今までに「半神」と「パンドラの鐘」をTVで観ただけだけど、さすが、
すごい力だな〜と思ってはいた。演出家としては・・・よく分からない。
「パンドラの鐘」のTV放送は、野田MAP版はあんまり集中して観られなくて、
途中で観るのやめちゃったけど、蜷川版はすっげーおもしろい!と思って一気に観てしまった。
TVってやっぱり生と違うし、他事しながら観たりできるから、うーん、野田版を観た時の
自分の状況によるのでどっちが好きともはっきり言えないが・・・。松たかこちゃん、片桐はいりと親子の役でおんなじ格好、不思議な衣装。
可愛い・・・とは言えないappearance。はじめっからハイテンションで電話の向こうの神様とおしゃべり。
イっちゃってる娘なのかなー、と思ってたら、ただのイっちゃってる娘じゃぁない。
神の声を聞く巫女は、石油を掘り当て、(・・・という演技をして・・・までも)それを元手に
民衆を復讐に、戦争に駆り立てていく。こういう役を、清廉な印象の彼女にやらせるから良いのね。竜也は第2次世界大戦の特攻隊の生き残りヤマト。今までは(一見?)邪気のない役
(というか、根は純粋だがそれゆえ・・・っていう悲しい人)が多かったけど、
今回は普通の、欲のある人間。でも、一番強い欲:生きたい、というのが満たせない、
最終的にはやっぱり悲しい人・・・。ふぅぅ。
よく動いてた。でも、ちょっと脇に回った感じかな。
主役は「ストーリー」だったからね。強いて言うなら松さんが主役ではある。軍服にレイバン?のサングラス、くっちゃらくっちゃらガム噛みながら登場する小林聡美、
ちびっこ大佐。古代では神。そんな役柄でも威圧感がなくて(でも緊張感はある)、妙に可愛い。
それが嫌味がなく可愛いところがさすが。意外に、面白いなぁと思ったのが山口沙也加。ひとりでフィフティーズなワンピースで出てきて
へんてこアメリカ人ノリな役で、まぁキャラクターが強いから誰がやっても面白いかもしれないけど。
でも良かったなぁ。なかなか。時代や場所はあっちとこっちが交じり合って1本の縄によられている。
古事記の古代と、第2次世界大戦直後と、現代。かなりぎゅっと、大きな力で。
力技ですべてがぎゅっと太い注連縄によられている感じ。私は世界情勢については大変に勉強不足で、イラク戦争の意味どころか背景も、
表層的な部分でさえよく分かってないけど、んー、今回の戦争が石油の利権をめぐるものだ、
とは言えないような気は、する。もっとなんかこー、アメリカの政治のぉ、なんつーか。
腹黒い人たちが色々世界を操つろーとする陰謀が、みたいなー。みたいなみたいなー。
ネオコンがー(よく分かってねぇ。バカ丸出しか)。
でも、石油問題ももちろんあるだろうと思われるので、「オイル」というタイトルはやはり
タイムリーなものだし、戦争の話だから、よくこの時期にぴったり合わせたように
こんな舞台をできたなー!すごいなぁ。これも野田秀樹の力。日本に原爆を落とすアメリカ。イラクに侵攻するアメリカ。よくわかってない古代の民
(ヨナレヲセヌヒト)を征服しようとする神々を重ね合わせる野田秀樹の力。
原爆と911を引き合わせる野田秀樹の力。こうして色々なものを重ね合わせる
力強さが圧倒的だった。無理やりな力技のようだけど、それを押し通してできちゃう
その馬鹿力こそが、「野田秀樹の力」なのだろな〜。
そんで、その馬鹿力は、巨大な力の暴走に対して「それでいいのか?」という
批判を投げかける力が、今の日本人には無いことを暴いている・・・
て、手厳しいでやんす・・・いやぁ、なんか、衝撃的でした。。。この脚本って、もちろんアイデアは数年前から暖めていたんだろうけど、
ワークショップとかやっていく中からできてきたわけでしょう?こんな、短時間で!?
そう、短時間で作らなくちゃ、こんなタイムリー感覚は出ないもの。
脚本だけじゃない、舞台として、これだけの完成度のものがこれだけの短時間?で??
内容も含め、そーいうことひっくるめて衝撃的。驚異的でした。
ラストシーンの松さんの悲痛な泣き声は・・・あぁ(涙)。また、夏が来る。原爆の、終戦の、夏がね。
忘れてはいけないね。日本人。
♪Sweet 7♪
ラーメンズの、コント全部書いてるほうの小林賢太郎がプロデュースする公演の第2弾。
いつものラーメンズ本公演は小林・片桐の2人きりで、衣装もセットも究極にシンプルだけど
プロデュース公演は小劇団系の役者さんを迎え、賑やかに♪STORY
とある町の、親の後をついでひろみが経営する売れないケーキ屋さん「七日堂」。
ライバル店に押されて売上は落ち込むばかり。
「新装開店準備」として1週間の臨時休業に突入した七日堂、実はその期間中に
経営を立て直すための決定打となるケーキを生み出そうという計画。
新人バイトを雇ってみたりもするが、七日堂のパティシエたちは色々と問題ありで・・・03.7.3 本多劇場
STAFF
作・演出・出演 小林賢太郎 舞台監督 野口 毅 照明プランナー 大迫浩二 照明オペレーター 岩崎美緒 音響 寺澤 信 音楽 anonimass スタイリスト 伊賀大介 舞台美術 NIELSEN CAST
片桐仁 久ヶ澤徹 平田敦子 野村知広 西田征史 犬飼若浩 室岡悟 森谷ふみ 小林賢太郎 無理矢理午後半休して下北沢へSweet7をみにいくことに。
まだ3時くらいだったが、劇場前の階段にはすでに10人くらい並んでいる。ひえええ。
小一時間並んで、整理券を入手。いったん解散。下北沢久しぶりなのでぶらぶら散歩。
開演1時間以上前にまた並ばされて、やっとのことで入場。下手側の座布団。お尻が痛い。開演。舞台はケーキ屋さんの厨房。セットが細かいところまで気を使って作られていて、いい雰囲気。
冒頭と最後は、一人厨房で作業するパティシエ蛇崩(片桐)のところに恵比寿屋乳業(小林)がやって来て・・・
という、ラーメンズの二人の場面となる。ここんとこ部屋でラーメンズのビデオを環境映像
のようにしょっちゅう流してるから、二人の声も間も雰囲気もすんなり入ってくる。
やっぱいいなぁ、ラーメンズ。大好きだなぁ。くくっ。で。「ある売れないケーキ屋さんの、復活への秘策を練る7日間」というストーリーなんだけど、
それぞれのキャラの濃さと面白さ、笑わせどころを魅せるために設定とお話がある、という感じ
なので、、、んー、ちょっと長いね。上演時間が。。。day1,day2・・・と区切ってあって、
それでテンポが出る反面、ブツ切れてしまうので、「一本によられて絞られてゆく」っていう
感覚がないのよね。私はストーリーモノが好きだし、色んな要素が詰め込まれていてもその中心に太い芯があって、
全てがその話の芯にぎゅっとまとまっていくというか、話の求心力が感じられるのが好きなんだけど、
この舞台はちょーっと散漫な感じがしてなぁ。
つまり、話の強さと、キャラ・シチュエーションの強さのバランスかな。
前者を強くとるのだったら、このくらいの長い上演時間でも大丈夫だけど、
後者を強く取るのであったらもうちょっとコンパクトなほうがいいなぁ。
色々詰め込みたかったんだろうってのは分かるんだけど。それに、キャラの濃さは面白いんだけど、セットとかいい感じにリアルに作ってあるだけに、
「お菓子つくれないパティシエ」(蛇崩)って・・・そりゃないだろぅがよー。って
ちょっと引いてしまうところもあってなぁ。わりと冷静に観てしまったんだよな・・・。
細かい言葉遊びとか、歌とか、笑わせどころはそれぞれに面白くて好きなんだけどね。ま、小林さん、色々やってみたいお年頃なのね。しょーがないわね、小僧。(笑)
色々やらしてくれる環境にあるときに、色々やるが良いでしょう。フ。やれやれー。
でもそれがラーメンズの世界に良い影響を及ぼしていかなかったら・・・許すまじ!!メンバーは上手い役者さんで固めてあるので、演技は安心感あり。
アライ(久ヶ沢)さんが結構可愛いわね。
平田敦子さんは・・・ずるい。その体、その顔。見た目だけで特。
しかし、なんといっても片桐。あぁ片桐さん。なんて可愛らしいのす。のーす!癒される。ま、つまり・・・及第点だけど、ラーメンズ本公演のほうが圧倒的に面白い
(even on videos!)、と思うな、ってこと。
チケット取れなくてさー、電話つながらないの。全然。すごい競争率だったんだろうね多分。
その分、期待しちゃったので、んー、そのワリには、って感じでした。でも、ほんと、今私の中ではラーメンズ結構熱いんですふはははははは。ほんと面白い。
数年前にNHKの「爆笑オンエアバトル」で見てからずっと気にはなってたけど、去年あたりから
あぁ好きかも、と思い始めて、いつのまにか手元にはラーメンズ関係のDVDやビデオが何本も・・・
この熱は当分続きそうな気がします。今これ書いてる時点ではラーメンズのライブはまだ1回
しか行ったことがないのだけれど。
なんというか、「信頼できる」という感覚です。ラーメンズのコラムをまとめた「微妙ハンター」という本があるのですが((株)ぴあ 2003.3初版)、
その中に、小林賢太郎が書いた「劇場に行こう」という文章があるのです。
ちょっと引用していいでしょうか。
出だしが「今回は少し生意気なことを。」となってて、そこがまた、若造らしく奥ゆかしくて
良いのです(笑) 私も同世代なもんで。「分野は問いません、多くのショービジネスに携わる同志達よ!我々が住み心地のいい国を
頑張って作りましょう!まずはいい作品からなんですよ!今僕は、多くの人が持つ
”劇場に対する敷居の高さ”を少しでも拭いたいと思って、できることは小規模ながら全部
やってるつもりです。」(89ページ)「さあ皆さん、劇場に行きましょう!チケットを買って、席に座り、泣いたり笑ったり、
驚いたり感心したりしましょう。「あの作品はどうだった」なんて他人の意見はどうでもいいんです。
自分がどう感じたかが大切なんです。」(90ページ)うわー、うわー、わー、わー、わーーーーーー・・・・!!!!
すごい感動したんだよ。嬉しかった。なんか。ものすごい嬉しかったんだよーこれ読んで。
こういう考えが基底にある人だから、信頼できるんだ、と思った。
いや、こういうことを当然のように真面目に考えている人は演劇界にたくさんいるんだろうと思うよ。
だから、今更キミみたいな若造に言われなくても、って感じなのかもしれないけど、
それでも、こういう考え・姿勢を素直に真摯に書き著せる彼を、私は信頼するのです。